不動産の安心安全(大地震想定編) 土地

1.住まい基本(安心安全)編

(1) 安心安全(大地震想定編)

前回4つ挙げました“安心安全”のうち、今回は「耐震性」に焦点を当てたいと思います。
近いうちに大地震が来ると言われています。
#「地震は来ない」や「来たら来ただ、対策は無意味だ」と思われている方は、この先は飛ばしてください。来ることを想定しての話なので。
東京都心部が実際にどれくらいの揺れになるのか、想像もつかないですが、東日本大震災のときも結構揺れました。あれで『震度5弱』ですものね。
その際も、「本が落ちてきた」「食器が割れた」等の話を曙橋の辺りでも聞きました。
『震度7』などが来たら、、、と想像するだけで恐ろしくなります。

しかし怖がってばかりいてもしょうがないので、不動産の専門家としての立場から『大地震が来ても倒壊しない可能性の高い住居』というものを考えてみたいと思います。
大きな要素は、2つ。『土地』と『建物』です。

A.土地


(画像:国土地理院の「電子国土WEB」で作成)

(a) 地形的な面

まずは、土地のある場所の地形に注目します。
[丘陵地] 地盤は固いことが多いが、都心部からは離れている。
[台地] 比較的地盤が固いことが多い。千代田区、港区、新宿区、渋谷区、文京区等の都心部の区でも、坂の上の高台は武蔵野台地であることが多い。(上の画像でオレンジ色の部分が台地)
[低地・谷地・窪地(以下、低地等)] 台地のへりの下部分や、台地上にあっても昔川が流れていたり水たまりがあった土地。坂の下にある土地で、水が出ることが多い。
以上の地形は、基本的には、[丘陵地] [台地][低地等] の順に地盤が悪くなります。
その他に、人工的に [盛土] で造成された土地があり、これは、古さや擁壁の状態によっては、[低地等] よりも悪いところがあります。[盛土]は、過去の大地震でも大きな被害を出した注意すべき場所です。

簡単に説明してきましたが、都心部で大地震が来ても問題のない可能性が高い地形は、[台地] だけと言えます。#丘陵地は、都心部にはありません、、、
[低地等] は、場所によっては新宿区でも「液状化の可能性がある地域」に指定されています。

安心安全の観点から土地を地形から選ぶなら・・・正解は『台地』

(b) 地盤データ

表層地盤」は熊本地震で、最新の耐震基準である2000年基準の木造2階建てが倒壊したことで注目されました。その名の通り、地表近くの地盤の固さを調査しなおしたものです。

J-SHIS Map(表層地盤データ)

これは、約250m四方のメッシュ毎に区分が決定されているため、細かい谷地等の情報は反映されていませんが、公開されているボーリング調査結果の情報を併せてみることで、その場所付近の地盤情報がかなり詳しく分かります。

東京の地盤(GIS版)
新宿区地盤情報閲覧システム

これを併せてみても、やはり地盤の固さを示す数値(N値)は、[台地] の方が [低地等] よりも高いことがほとんどです。

安心安全の観点から土地を地盤データから選ぶなら・・・正解は『台地』

不動産には様々な好みが反映されます。「家具の日焼けが嫌だから北向きの部屋がいい。」という方もいらっしゃいます。それは全然OKです。
ただ、地震の際に揺れやすいか否か、建物に与えるダメージが大きいか否か、ということを考えると、土地選びに関しては、絶対的に『台地』を選ぶべきです。

東日本大震災の際にも、近所の人の話を聞いていて、「本が落ちてきた」や「食器が割れた」と話す人の割合は、やはり低地のマンションや戸建てに住む人が多かったです。
自分の家族の命や財産を守るために、ここで「土地選びに関しては『台地』 を選ぶべき」と言っているのは、予算が合わなかったら、予算内に収まる場所まで都心部を離れましょう、ということです。

土地選びは、地形に関しては、予算で妥協するポイントではありません。

『住まい』で一番大切なのは、住む人の命や財産を守ることです。
台地にある物件から選んでいただきたいと思っています。
#商売(収益物件)は別です。あくまで『住まい』です。

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「不動産鑑定士」として相談を受けているうちに、物件購入を検討する多くの方が主客転倒(※)のアプローチをとっているのではないかなと疑問に思うことが多く、物件購入を検討する前に知っておいていただきたい不動産の基本についてお話ししたいと思っています。
(※)現在「マーケットに出ている物件」を前提に考えるのではなく、そもそもどんな不動産がリスクも少なく、資産性も保たれる可能性が高いのかを考えていただきたいと思っています。