安心安全に暮らしたいなら、大地震に強い建物を選ぶ03

1.住まい基本(安心安全)編

(1) 安心安全(大地震想定編)

B.建物

前回から“安心安全”のうち、「耐震性」に関しての続きです。
今回も「建物」シリーズ第3弾です。
(上の画像は、立地(高台)も建物の形状も文句ないと思えるマンションの例です。)

c.建物の形状

耐震性や耐久性を考えた場合、現在の耐震技術や想定をどこまで信じるかという問題にも行き当たります。
耐震性に関して、日本には世界に誇る技術があると思いますが、杭打ち偽装やダンバーのデータ改竄などが明るみに出るように、人間のやることを鵜呑みにすることはできないと思っています。

同じように、最近は地震でも台風や大雨でも「想定外」という言葉を毎年のように聞きますが、所詮人間の「想定」など、自然は軽々と超えて来る、ということでしょう。となると、「想定」をできるだけしないで済む建物がいいということになります。
#建物の強度自体が「想定」の塊じゃないか、とも言えてしまいますが。

ここで問題です。
縦に細長く伸びる建物と、横長でどっしりした形状の建物でしたら、どちらが地震の揺れに強いと思いますか?

テーブルの上に、牛乳パックのような形状の箱を
縦に立てて置いてテーブルを揺らした場合
横に倒して置いてテーブルを揺らした場合
では、どちらの方が倒れるリスクが高いと思いますか?

それは「縦に立てて置いた方」がより揺れたり倒れたりしますよね。
ブラックボックス(分からないこと)がある場合は、物事を単純に見るのがいいと思っています。
#ブラックボックスとは、耐震に関する技術や施工の内容等を指します。

実際、建築士の中には、「縦長の建物は築後10数年経ったら、耐震補修が必要になる場合がよくあるので、築15年ほど経ったら“耐震診断”をした方がいい。」という方もいます。

安心安全の観点から建物を形状から選ぶなら・・・正解は『横長のどっしりした形状』

と、ここまで“リスクが少ない”可能性の高い建物について書いてきましたが、『住宅性能表示制度』を確認できれば、それが一番安心です。

d.住宅性能表示制度

2000年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、品確法)」に基づく制度で、詳しくは、住宅性能評価・表示協会のページをご覧いただきたいのですが、簡単に言うと、

その建物の耐震等級が分かる。(耐震等級は“3”が最高)
壁の厚さや床の厚さも分かる。(耐震性だけでなく、遮音性も把握できる)
その他、建物について、色々な情報が分かりやすく掲載されています。

木造で、直下率の低い建物でも、耐震等級“3”を取っていれば、私も文句を言いません。
RC造等で、耐震等級“2”以上であれば、すごくいい建物だと思います。

耐震等級を1つ上げるためには、建築コストが数%余計に掛かるので、建売りや分譲では、なかなか耐震等級を上げることができません。
この数%のコストアップを販売価格に転嫁できるのであれば、言い換えれば、数%販売価格が高くても「耐震等級“3”がいい!」と全消費者が言えば、建売業者も分譲マンション・デベロッパーも耐震等級を上げるのでしょうけれど。

「性能表示書はありません。」と言われたら、その建物は耐震等級“1”だと見て間違いありません。

耐震等級“1”が悪い訳ではありませんが、性能表示書がなく建物の情報が分からないのであれば、ここで説明してきましたように、
a.築年
b.構造
c.形状
等から判断し、できる限りリスクの少ない建物を選ぶようにしましょう。

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「不動産鑑定士」として相談を受けているうちに、物件購入を検討する多くの方が主客転倒(※)のアプローチをとっているのではないかなと疑問に思うことが多く、物件購入を検討する前に知っておいていただきたい不動産の基本についてお話ししたいと思っています。
(※)現在「マーケットに出ている物件」を前提に考えるのではなく、そもそもどんな不動産がリスクも少なく、資産性も保たれる可能性が高いのかを考えていただきたいと思っています。