不動産の正解 ~良い不動産とは~

一般消費者が30年にも及ぶ借金をした上で購入する「住居」ですが、購入する際の検討する順番が“逆”だと常々思っていました。購入する方の多くは、現在マーケットに出ている物件の中から「予算に合うもの」や「住みたいエリアにあるもの」を選びます。

でも、一生に一度買うかどうかという高い買い物なのですから、まずは「不動産」というものを勉強してから検討すべきだと思います。新聞の記事やサイトを読んでいると、よく「不動産は、よく勉強してから買いなさい。」と書いているものに出くわします。では、「何を勉強したらいいの?」と考えた場合、『これが、基本だ!』というものが意外に見当たらないことに気付きました。

ここでは、不動産鑑定士として、一般消費者が不動産の購入を考えた場合に、知っておいた方がいいと思える“正解”をご紹介したいと思います。

不動産」は一つ一つ違うものであり、価格も個別に形成される、と言われます。
理論的にはその通りなのですが、その価格を導く際に、不動産鑑定士も取引事例比較法(付近の相場を明らかにする手法)を利用しますし、やっぱり「比較検討」は絶対にします。
そして、その比較検討する場合に、「絶対にこっちを選ぶべき!」と正解がある場合と、好みによって選べばいいんじゃないですか、という場合があります。

正解がある場合

地盤
地盤のいい場所と悪い場所を比較するなら、当たり前ですが「地盤の良い場所」を選ぶべき。
高台
高台と低地(谷地)を比較するなら、ゲリラ豪雨の発生等の際も安心な「高台」を選ぶべき。
建物が旧耐震
近いうちに大きな地震が発生するのではと言われているので、「旧耐震(1981年以前に建てられたもの)」の建物はダメ。

好みによって選ぶ条件

建物のデザイン、階層、開口部の方位
階層(何階に住むか)は高い方が良いとか低い方が楽とか、南向きが良いとかに関しては、デザイン同様、好みで決める問題なので、正解はないです。ただ、小さい子供のいるファミリー世帯ですと、南向きの方がお勧めですし、女性や子供がいる世帯では、防犯面から3階以上(できれば4階以上)かつモニター付きインターホンのある物件がいいと思います。
「建物のデザイン」も好みで決める問題ですが、あまり凝ったデザインの建物は、修繕費が高くなる傾向があるので、注意が必要です。
戸建てかマンションか
一生そこに住み、子供にも譲るくらいのつもりなら「戸建て」がいいでしょう。但し、狭小地に建つ木造3階建の一戸建ては「耐震等級3」を満たしていない限り選ぶべきではないと思います。
現状、建替えが困難な「マンション」は永住には向きません。但し、「マンション」の方が、狭小木造3階建の戸建てと比較すれば耐震性も安心ですし、防犯性、生活上の快適性も高いと思います。

予算面から「不動産の正解」=「ベストな選択」とならない条件

古い建物と新しい建物
一般的に建物が古いほど価格は安くなります。建物の残存耐用年数が少なくなるので、当たり前なのですが。価格を考えずに「不動産の属性」からいえば、新しい建物の方が良いに決まっています。特に、東日本大震災の後に竣工した建物は、大きなダメージを受けたことのない非常に安心できる建物です。
ただ、これは予算との兼ね合いになるので、属性から見た「不動産の正解」を押し付けることはできません。と言いつつも、築30年を超えたマンションは、「建替え」が視野に入ってくるので、注意が必要です。
土地の方位、形状
都心部で「土地」を購入して上物を建てる、という方は少ないと思いますが、土地の方位・形状に関しても不動産の属性から見た「正解」はあります。
方位は南向き、形状は長方形がいいです。しかし、都心部の土地はべらぼうに高いので、高台で地盤のいいところなら、北向きでも旗竿地でも候補に入れていいと思います。
設計次第で、面白い建物が建てられるかもしれません。

一番上の条件のように、不動産にも「正解」と言えるものがあります。
価格等に惑わされずに、絶対に選んだ方がいい条件です。
昨今、マンションの『資産性』というキーワードをよく聞きますが、建物が倒壊したり、水没したりしたら、『資産性』は大幅に下落しますからね。
駅近等の利便性だけにとらわれず、不動産(家)は住むところ、命や財産を守るところ、ということを念頭に選んでいただきたいと思っています。

以下、少し詳細に見てみましょう。

第1部 居住用不動産 目次

第1章 住まい基本(安心安全)編

序文
(1)安心安全(大地震想定編) 土地 建物01 建物02 建物03
(2)安心安全(大水害想定編)
(3)安心安全(防犯編)

第2章 資産性編

(1)利便性 A.交通利便性(都心接近性) B.生活利便性
(2)地盤や建物の堅牢性(第一章と同じ)
(3)流動性

第3章 マンションか戸建の選択編

(1)処分・変更の自由度
(2)大地震の際の倒壊リスク
(3)セキュリティ

第4章 不動産を買うタイミングに損得はあるか?編

(1)終の棲家を買う場合
(2)買い替えを前提とする場合
(3)タイミングを判断するデータの見方

番外編 不動産鑑定士の紹介

【以下の(1)~(3)は、同一ページにあります。】
(1)不動産鑑定士という資格の難易度
(2)不動産鑑定士の人数
(3)不動産鑑定士の知見

第2部 収益不動産 目次

第1章 収益シミュレーション編

序文
(1)賃料の査定
(2)賃料の下落率の査定
(3)空室率の査定
(4)還元利回りの査定

第2章 サブリース編

(1)サブリースのリスク
(2)サブリースを活用できる条件

第3章 ワンルームマンションか一棟アパートの選択編

(1)ワンルームマンション投資のメリット・デメリット
(2)一棟アパート投資のメリット・デメリット
(3)どっちがいいとは言えないが選ぶ基準

以上、不動産鑑定士として勉強したことがお役に立てば幸いです。
※目次の先の記事は、追々書いていきますので、少々お待ちください。