不動産鑑定士とは

今回は、番外編として『不動産鑑定士』とは何なのかをお話ししたいと思います。

1.不動産鑑定士

「日本不動産鑑定士協会連合会」のページに、
—————————–
不動産鑑定士は、地域の環境や諸条件を考慮して「不動産の有効利用」を判定し、 「適正な地価」を判断します。つまり、不動産鑑定士は、不動産の価格についてだけでなく、不動産の適正な利用についての専門家でもあります。
—————————–
という説明があります。
今一つ分かりにくいので、少し下世話な面も含めて説明したいと思います。

(1) 不動産鑑定士という資格の難易度

『不動産鑑定士』という資格を取るには、不動産業界では最も難易度の高い試験に通る必要があります。どのくらい難しい試験なのかというと、
公認会計士試験と単位交換ができる。(“格”としては公認会計士試験と肩を並べる。)
働きながら勉強して合格、というのは難しい。合格に必要な勉強時間が、2,000~5,000時間と言われています。
試験が「論文式」(一科目は短答式)。ボールペンで、ひたすら書きまくる必要があります。

例えば、民法の問題の例を挙げると、
—————————–
【問題】
Bは、A所有の土地を賃借し、その土地に木造アパートを建て、これらをCに賃貸して引き渡した。これを前提にして次の問(1)及び(2)に答えなさい。
(1) Aは、CらがAの承諾を得ないで本件土地を利用していることを理由として、A・B間の土地賃貸借契約を解除することができるか?
(2) 本件建物は、建築から数年後にBの雇った管理人の過失によって全焼し、Bは直ちに同様の建物を再築した。この場合の[1]A・B間の土地賃貸借契約関係及び[2]B・C間の建物賃貸借関係の帰趨について論じなさい。
—————————–
というもので、このような問題が民法の試験として2問出ます。解答用紙は、右の画像のような、B4横書き25行の原稿用紙が1科目につき4枚配布されます。なので、1問につき、2枚で解答することになります。

この原稿用紙を前にして、「事例分析」を行い、「論点」に漏れがないか抜き出した上で、論点ごとに答案を構成していきます。
宅建やマンション管理士等他の試験の民法とは、試験の構造が異なるので、〇倍難しいとか倍率で比較できないほどレベルの差があります。

(2) 不動産鑑定士の人数

『不動産鑑定士』の登録数は、全国で8,300人ほどです。
※宅建士は、この100倍以上、全国に100万人以上います。
難易度の高い資格なので、ただでさえ人数が少ない上に、公示価格や路線価等の公的な仕事に携わる人が多いので、エンドユーザー(最終消費者)向けにその知見を還元している不動産鑑定士は非常に少ないのが現状です。

(3) 不動産鑑定士の知見

『不動産鑑定士』は、「不動産とは何か?」というところから勉強しています。
ここを突き詰めて説明すると非常に長くなってしまうので、簡単に宅建士と比較しますと、宅建士は「今、マーケットにある不動産」の取引についての資格です。

『不動産鑑定士』は、そもそもその不動産はどのような不動産なのか?から評価します。地盤や建物の構造、権利関係等を勘案して、その取引価格に見合うだけの価値のある不動産かどうかを判断します。

以上のような、エンドユーザー(最終消費者)のお役にも立てる筈の資格なのですが、知名度がビックリするくらい低いです。商店街では、「宅建より下でしょ?」と言われたこともあります。よく聞く名前の方が上だと思っちゃうんでしょうね。

『不動産鑑定士』をもっと身近なものにしていきたいと願っています。