物件購入の手伝いを頼むべき不動産仲介業者の条件5ポイント

不動産の購入エージェンシーともいうべき、本当に購入者の味方になってくれる不動産仲介業者を見抜く方法もお知らせします。それは、その会社(担当者)が仲介における各段階で必要な情報を与えてくれるかどうかをチェックすることです。

不動産屋に物件の購入を検討している旨を伝えることで、その業者との付き合いが始まります。そして、気に入った物件が見付かると買付証明書を出して、条件交渉が始まります。最終的な購入の決断をしたら、契約となります。この各段階で、きちんとした資料に基づく説明があるかどうかが非常に大切です。

逆にいうと、買付証明書を出した後に契約を急かすばかりで、必要な情報をこちらから言わないと出してこない業者は購入者に寄り添っているとはいえません。

購入者の味方になってくれる業者は、大きく分けると以下の5つをきちんとやってくれます。

恣意的な物件紹介をしない。
紹介した物件のお勧めする客観的な理由(資料等)を明示する。
物件購入の是非を判断するために必要な資料を、こちらが請求しなくても出してくれる。
最終的な購入の是非を、資料を基に一緒に考えてくれる。(購入を急かさない)
契約書や重要事項説明書を契約日の数日前に取り寄せ、その詳細な内容・不利な項目を説明してくれる。

では、各段階について少し詳しく見ていきましょう。

物件紹介の段階

不動産屋に物件購入の相談で訪れると、条件に合ったものを数件紹介されます。何を当たり前のことをと思うかもしれませんが、そもそも、その業者が勧める物件は、本当に購入者に寄り添ったものなのでしょうか?

この段階で疑うべきは、以下の2点です。
1.本当に購入者に寄り添った物件なのか?(業者に都合のいい物件ではないのか?)
2.本当に買ってもいい物件なのか?

仲介業者は、売れないことには収入になりません。完全な成功報酬です。そして、両手仲介(囲い込み)が成立すると手数料が倍になります。

そのため多くの業者は、自社が売主から売却依頼を受けている物件を買ってもらいたいと思っています。そうすれば、売主からも買主からも手数料を貰えるからです。しかし、その物件が本当に購入者にとって良い物件かどうかは別の問題です。

まず、業者が恣意的に物件を選ぶことを防ぐには、REINS(業者ネットワーク)の検索結果を全部見せてもらうことです。業者が売却依頼を受けても一般媒介であればREINSに掲載する義務はないので、REINSに掲載されていない売却物件というのは存在しますが、現時点で売却を希望している物件の多くはREINSに掲載されていると思っていいでしょう。

不動産屋に購入を相談した際に、現時点で条件に合致するREINS掲載物件をすべて見せてくれる業者は、情報を隠すつもりがないといえます。

その上で、リストに掲載されている物件の中から、購入者に当該物件を勧める理由をハッキリと明示できれば合格です。

この「物件を勧める理由を明示」することが、『物件評価機能』です。不動産屋の仕事を機能別に分けると、
1.物件検索機能
2.物件評価機能
3.契約サポート機能
の3つに分かれると思います。1の「物件検索機能」は、ネットの普及でお客様が見付けてこれるようになりました。AIが普及すると、更に個人が見付けやすくなると思われます。

3の「契約サポート機能」は、できて当たり前、できないとマイナスが付く機能です。ただ、これも本稿の下の方で触れますが、クロージングを急ぐ余り、お客様を急かしてしまい、本当にご納得いただく努力をしているかどうかというと微妙です。

そして、忘れられているのが、2の「物件評価機能」です。不動産の購入の相談にくるお客様はは、購入のサポートを期待されている訳ですよね。であれば、自分が培った物件を見抜く目を、お客様のために使わないといけない筈です。

検索条件に合致しているからといって、川沿いの低地にある物件や、幹線道路沿いの物件を平気で勧めてくる業者は、やっぱり信用できませんよね。いえ、勧めるべきではない、といっている訳ではないのです。価格がそのリスクの分、安くなっていて、それを購入者が納得しているのなら問題ないと思います。そのリスク等をきちんと指摘しない、説明しない業者はダメだということです。

つまり、物件紹介の段階で、購入者の味方になってくれる業者を見抜くためのチェックポイントは、

恣意的な物件紹介をしない。
紹介した物件のお勧めする客観的な理由(資料等)を明示する。

買付証明書を出してから契約するまでの間

上述した段階で「買ってもいいかもしれない(まだ“かもしれない”が付く段階です)」という物件が見付かったら、『買付証明書』を売主に出します。

この『買付証明書』は、この物件を購入する意思があるということを売主に明示するものであり、多くの場合、ここから条件交渉が始まります。『買付証明書』を出すと、ローンの審査が通るかどうかばかり気にして、その物件が本当に「買ってもいい」物件かどうかの最終確認をしない業者はダメダメ業者です。

上の段階で「買ってもいいかもしれない」物件だったものを、更に資料を確認して「買ってもいい」という確証を得る段階が、この『買付証明書』を出してから契約するまでの期間です。

では、「買ってもいい」という確証を得るためにはどんな資料が必要でしょうか?

ここで、突然ですが質問します。
車を買う際、燃費やエンジンのパワーは関係ない。デザインがよければいい。
冷蔵庫を買う際、消費電力や冷却力は関係ない。ブランドがついていればいい。
等々いくらでも質問を増やせますが、これらのように「性能は関係ない。デザインやブランドで選ぶ。」という方はどれくらいいるのでしょうか?

この「性能は関係ない」と思う人には、こちらのサイトは必要ないと思います。逆に、一生に一度の買い物かもしれない、大きな借金を背負って購入する不動産だからこそ、できる限り物件を見極めたいと思う方は、以下のポイントを必須と心得てください。

まずは、またしても質問から入ります。
「中古マンション」の購入を考えた際、どんな部屋だったら嫌ですか?

壁が薄かったり、上階の住民の足音が響くような“騒音問題”が発生している部屋。
修繕積立金が不足しており、購入したらすぐに修繕一時金を徴収されるマンション。
管理組合の理事会が紛糾しいて、必要な修繕を計画通りに進めることができないマンション。
事務所使用の禁止や風俗系の入居禁止が規約になく、治安や風紀に不安があるマンション。
少し前に漏水被害に遭った部屋。
等々のマンション・部屋は購入したくないですよね。

でしたら、そうではないことを確認しましょう!!

これらの問題が発生している可能性が低いことを確認するためには、
□ 性能評価書や竣工図面
□ 管理組合の総会議事録、理事会議事録、長期修繕計画書
□ 管理規約、使用細則
□ 売主の告知書(物件状況報告書)
等を閲覧することが必要です。

性能評価書や竣工図面」で、床や壁のコンクリートの厚さを把握しておけば、そのマンションが騒音問題の発生しやすい建物かどうかが分かります。

長期修繕計画書」の有無や現在の修繕積立金残高を把握すれば、修繕一時金が発生するかどうか、修繕積立金が値上げする可能性について判断できます。

管理組合の総会議事録、理事会議事録」を閲覧すれば、“管理”に対して意識の高いマンションかどうか、修繕を計画通りに行うことのできるマンションかどうかを推定できます。管理・修繕をおろそかにするマンションの資産性など推して知るべしです。

管理規約、使用細則」にそのマンションの居住ルールが記されています。居住ルールを事前に確認することは、快適にそのマンションに住むための第一歩です。

売主の告知書(物件状況報告書)」には、過去の雨漏りの有無や心理的瑕疵に当たる事象があったかどうかなどが記載されます。これらも、購入の是非を判断するために欠かせない情報です。

ここで記した内容は、購入するかどうかを判断するのに決定的な役割を果たす重要な情報です。なのに、現状、大手の不動産会社でも、こちらから請求しない限り、積極的に資料を出してくれません。買付証明書を受け取ると、「他にも買付証明書を出しているお客様がいまして、、、」等と急かすテクニックばかり磨き、購入者に寄り添う姿勢の業者は非常に少ないです。

ここで気を付けていただきたいのは、この“購入者に寄り添う姿勢”をどこで見抜くのか、ということです。笑顔? 親身になってくれる? マイナス情報を言ってくれた?

それらは営業マンの基本テクニックです。営業のマニュアルにもあります。最近は多少のマイナスを伝えることで信頼を得る、というテクニックが流行しています。“購入者に寄り添う姿勢”を見抜くには、必要な資料を向こうから出してくれるかどうかで判断します。

購入してくれないと売上げにならない不動産仲介業者では、購入する気になっている客の、その意欲を削ぐのはバカだと教育されています。黙っていれば買ってくれるのに、わざわざ性能評価書等を契約の前にチェックさせて、「床の厚さがちょっと足りない気がする。」等と駄々をこね始められたら、上司に罵倒される訳です。

でも、金を出すのは購入者の方ですし、これから住む建物にできるだけの妥協はしたくないですよね。性能等の情報を把握した上で妥協してハンコを押すのと、笑顔と親身な姿勢に騙されて必要な情報は何も貰わないままハンコを押すのとでは、納得感が全く異なると思うのです。

後で後悔をしたくないのであれば、営業マンの笑顔や優しさとかではなく、また、その業者が日本を代表する財閥系だとか誰もが知っている大企業の系列だとかではなく、物件を見極めるために必要な情報を向こうから提供してくれるかどうかで判断するべきなのです。

そして、その資料を基に、最終的に購入するかどうかの判断を一緒にしてくれる業者を選ぶべきです。契約(ハンコを押す)までは、購入の意思を撤回できます。契約をとにかく急かしてくる業者ではなく、契約までの間、本当に「買ってもいい」物件かどうかを一緒に見極めてくれる業者を選ぶべきです。

この段階で、購入者の味方になってくれる業者を見抜くためのチェックポイントは、

物件購入の是非を判断するために必要な資料を、こちらが請求しなくても出してくれる。
最終的な購入の是非を、資料を基に一緒に考えてくれる。(購入を急かさない)

契約日

物件を見極めることができたら、最後は契約上の問題点を洗い出す作業です。

不動産という大きな買い物の契約を交わす場合、その契約書(のひな型)は契約日のどれくらい前に欲しいですか?

通常、このように質問されたら、「2~3日前だと直前過ぎるかな、5日くらい前に貰えないと、内容までチェックするのは難しいかな。」と思いませんか?

不動産関係のお仕事をされているのでしたら別ですが、通常、初めて契約書を見せられて、その場でハンコを押すことを求められるなんてあり得ない、と思いませんか?

ご自身の仕事で、契約書を先方と交わす場合、契約当日までこっちは内容を見せて貰えず、先方が作成してきた契約書を当日見せられ、その場でハンコを押すなんてこと、ありますか?

ところが、不動産仲介の現場では、これがまかり通っているんです。大手の業者でも、こちらが何も言わないと、性能評価書等のみならず、契約書や重要事項説明書も契約当日になって初めてお客様が見るということが多いです。

その契約書に、購入者にとって不利になる条項が含まれていたとしても、その場でそれに気付けますか?
もしくは、気付けても、売主や業者、司法書士が集まった銀行の会議室で「やっぱり買うのを止める!」と席を蹴ることができますか?

[そのトラブルを防ぐために「重要事項説明書」があるのでは?]

それはその通りなのですが、その重要事項説明も、ほとんどの場合、紙に書いてある文字を読み上げるだけで、その項目が意味するリスクや影響まで説明してくれません。

例えば「擁壁」で盛土をしたマンションでも、「擁壁があります。」という事実は述べますが、その擁壁があることによるリスク(=盛土は地震に弱い地盤である等)や影響(=擁壁も維持修繕が必要になるので修繕費が高くなる可能性がある等)までは説明しません。

業法で「重要事項説明書を作成し、その説明をせよ。」と言われているので仕方なくやっているだけです。その項目が、購入者にどんな影響を及ぼすかまで明らかにしてくれる業者はほとんどいません。

これも、上述した資料と一緒で、購入する気持ちを萎えさせるような情報は与えたくないのです。

つまり、購入者の味方になってくれる業者は、契約書や重要事項説明書を契約日の数日前に先方から取り寄せるよう取り計らった上で、その内容を吟味し、購入者の不利になるような条項がないことを確認する必要があります。

以上から購入者の味方である業者は、売主と契約を交わす2~3日前に購入者とミーティングを行い、性能評価書等の資料の数字等を説明して最終的な購入意思の確認をした上で、契約書や重要事項説明書の各項目についても問題がなかったかどうかを説明する筈です。

物件リスクや契約上の不利を事前に説明しようとしない業者は味方ではありません。味方のフリして、裏で「早くハンコを押させよう」と画策しているのです。

契約の段階で、購入者の味方になってくれる業者を見抜くためのチェックポイントは、

契約書や重要事項説明書を契約日の数日前に取り寄せ、その詳細な内容・不利な項目を説明してくれる。

まとめ

ここまで挙げてきたことを、実際の不動産仲介業者がなぜやらないのかというと、余計なコストであり、余計な営業上のリスクだと思っているからです。

最近では、ネットで物件を気に入って連絡してきてくれるので、そのままクロージングすれば、数百万円の手数料が懐に入るのに、わざわざリスクを洗い出して、お客さんの購入意欲をそぐのはバカだと思っているのです。

不動産を調査分析するのは、それなりに時間が掛かります。知識や能力も必要となります。でも、物件を詳しく調査分析すると、却って、お客様の購入意欲を削ぐ場合があります。上述した擁壁があるマンションなどもこれに当てはまります。コストと労力をかけて調査分析したことが、買ってもらえないという営業上のリスクを招くという、いわば二重苦のようなものです。

なので、大手の仲介業者でも「物件リスクや契約上の不利を事前に説明する」ことに力を入れないのです。

この「物件リスクや契約上の不利を事前に説明する」業者こそ、余計なコストや買ってもらえないかもしれない営業上のリスクを呑み込んでお客様の側に立った営業をしているということに気付いていただきたいと思っています。